最終回:【通信制高校ドタバタ転学記⑦】わが家の受験シーズンの終幕。大学進学を選ばなかった息子「俺、勤労意欲はあるから」

育児のカオス

カオスさん

一般前期でよい結果を出せませんでした。中期や後期試験の出願締め切りも迫ってるし気ばかり焦る……。

コスモスさん

一般前期で手痛いルール誤認を経験した息子ですが、入試のチャンスはまだ中期、後期と残されていました。「どこか出願しないの?」と見守る私に、息子が最後に出した答えをお話しします。


迫る後期試験と、息子の迷い

一般前期を終えてからも、チャンスがゼロになったわけではありませんでした。 しかし、息子はなかなか「次を出願したい」と言い出しません。週に1回ほど「出願するなら調査書の郵送が必要だから、早めに言ってね」と声をかけるものの、「やっぱり大学には行っといたほうがいいやんな……」と、迷う素振りを見せるようになっていました。

わが家のスタンスは、最初から一貫していました。 「大学に行くかどうかは自分で決めなさい。行くなら学費は出すから4年で卒業すること。行かないなら働きなさい」

正直なところ、AIが凄まじい勢いで発達し、世の中の変化が激しいこの時代です。以前のように「大学を卒業して就職し、同じ会社で長く勤める」というモデルが、今も正しいかどうかなんて誰にも分かりません。 全日制高校から通信制高校への転学を経て、やっとの思いで高卒資格を手に入れた息子にとって、さらに4年間大学に通って勉強を続けるのは、少しハードルが高いようにも感じていました。

子どもは自分とは別の人格です。それに、息子はまだ10代。アラフィフの親世代から見れば、ここからどう転んだって、いくらでもリカバリーは可能です。

当の本人はといえば、11月に18歳を迎えてから、親の同意なしで申し込めるようになったアルバイトに精を出す毎日。お世辞にも、受験勉強に励んでいるようには見えませんでした。

夜11時のタイムリミット、そして最後の問いかけ

そんな中、3月中旬のある夜のことです。 連日の残業続きでヘトヘトだった私は、すでに布団に入って目を閉じていました。そこへ、息子がやってきたのです。

「大学に出願したいから、受験料払って」

高3の秋に目をつけていた、得意の数学だけで勝負できる大学の後期日程でした。ただ、受験形式に目をつけていただけで大学自体には惹かれていない様子でしたので、こちらからは特に受験を勧めてはいませんでした。「それでもやっぱり最後にもう1校挑戦したいのかな」と、スマホを操作し、出願画面を確認しました。

出願締切:本日消印有効

時計の針は、すでに夜の11時。今からネット出願の手続きをしたところで、必要な提出書類を今日中に郵便局から発送することなんて、不可能です。

「とりあえずネット出願と受験料の支払はしておくから、明日の朝一に大学に電話して、調査書の持ち込みがOKか確認してみたら?」

残された唯一の可能性を提案した私に対し、息子はしばらく沈黙していました。そして、ぽつりとこう言ったのです。

「……もう勉強したくないから、大学行かなくてもいい? 働くから」

最近の彼の葛藤を見ていたからこそ、その言葉は突飛な思いつきではなく、本音なのだと分かりました。 「働くなら、別に大学に行かなくてもいいよ」と私が答えると、息子は力強く言いました。

「俺、勤労意欲はめちゃくちゃあるから」

この一言で、わが家の長くてドタバタだった受験シーズンは、唐突に、けれど静かに幕を閉じました。

「正解」がない時代を生きる、これからの強み

大学に行かないという選択。 現在約6割が進学する世の中で、大多数からは外れるのかもしれません。けれども、わが家の親戚の中に、高校中退からブルーカラーの職人として自立し立派に生計を立てているモデルケースとなる人物がいます。「学歴がなくても、働くバイタリティがあれば生きていける」息子が進路を選択する中で少なからず影響を与えたのかもしれません。

現在、息子は言葉通り、フードデリバリーの仕事に励んでいます。 「どうすれば効率よく、たくさん稼げるか」を自分なりに戦略を立てて頑張っています。

この仕事をいつまで続けるのか、これから先どうなるのかは、今の段階では分かりません。 でも、それは大学に進学して就職したとしても全く同じことです。大企業に入れば一生安泰、という時代はもう終わりました。

これからの激動の時代を生き抜くために必要なのは、過去のレールにしがみつくことではなく、「時代の変化に合わせて、自分の頭で柔軟に考え、行動に移せること」

迷いながらも自分で稼ぎ、社会の仕組みを肌で学んでいる今の息子の姿を見ていると、この選択もまた、彼にとっての立派な正解なのだと感じています。

最後に:ドタバタ転学記を終えて

全日制高校から通信制高校への転学、レポート未提出からの推薦騒動、そして19万円の併願課金と当日の大誤算……。 本当にドタバタしっぱなしの1年間でしたが、一歩ずつカオスを乗り越え、コスモス(秩序)へ向かってスタートをきることができました。

これまでこのシリーズを温かく見守ってくださり、本当にありがとうございました!

……と、綺麗に締めくくりたいところですが、今回の結果を家計管理の面から考え得たことがあります。

次回、「目に見えない、恐ろしい機会損失」について、FPの視点からシビアに総括します。受験生を持つ親御さんは、ぜひ塾代や受験料の予算を組む参考にしてください🌸


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カオスさんとコスモスさん

カオスでも、コスモスでも・・・今日を頑張るあなたに、お疲れ様を。

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